2010年7月29日木曜日

「孫の二乗の兵法」=孫子の言葉と、孫正義独自の言葉を重ねた25文字の文字盤で表される経営指針メモ

 文字盤は5×5の配置になっていて、1行目の「道」「天」「地」「将」「法」は“理念”、2行目の「頂」「情」「略」「七」「闘」は“ビジョン”、3行目の「一」「流」「攻」「守」「群」は“戦略”、4行目の「智」「信」「仁」「勇」「厳」は“将の心得”、5行目の「風」「林」「火」「山」「海」は“戦略”を表す。1行目と4行目、そして5行目の風林火山は『孫氏の兵法』からの引用だが、それ以外は孫社長オリジナルだという。孫社長が説明した各文字の意味は以下の通り。

ah_son2.jpg 孫の二乗の兵法

理念

  • ……理念のこと。(ソフトバンク的には)「情報革命で人々を幸せに」
  • ……天の時、タイミングのこと。(ソフトバンク的には)「情報ビッグバン」「マイクロプロセッサ」「インターネット」というタイミングに自分たちが存在しているということ。
  • ……地の利のこと。(ソフトバンク的には)インターネットの中心が米国からアジアへ移りつつあることを指す。
  • ……優れた将を得ること。「自分のために『腕や足の1本はいらない。場合によっては命さえもいらない』と言ってくれるぐらい志を共有できる将を、どれだけ部下に持てるかが大事。最低でも10人は欲しい」(孫社長)
  • ……「度量衡」「貨幣」「漢字」「車の幅」「交通網整備」のような仕組みを整えること。「まぐれ当たりや根性だけで得た成功は続かない。成功するためのシステムを作っていかないと、継続的には勝てない」(孫社長)

ビジョン

  • ……ビジョンのこと。「登る山を決めて、山の上から見た景色をイメージする。10年後や30年後といった明確な時期を決めて、その時のイメージを思い描く」(孫社長)
  • ……情報収集のこと。「ソフトバンクを立ち上げる前に1年半、どんな事業を始めるべきか考えた。40の新しい切り口の事業を徹底的に調べて、10年分の売り上げや人員計画などを分析、書類の束がそれぞれ1メートル以上になった」(孫社長)
  • ……ビジョンを達成するための戦略のこと。「ありとあらゆる情報を集めて分析した上で、無駄なものを除去して、一番太い幹になりうる部分を手がける。急所を見つけて、実行することが大事」(孫社長)
  • ……勝率7割で勝負を仕掛けるということ。勝率5割で戦いを仕掛けるのは愚か、勝率9割まで待つとこの世界では手遅れになる。「切り捨てても本体は生き残れるように、3割以上のリスクを犯してはいけない。3割失ったら、『取り戻さないと』と深追いして全滅しがち。意地で戦ってはいけない。『失った3割がもったいない』という発想が会社をつぶす。マスコミに『卑怯者』『無責任』などと書かれるので、退却するのは10倍の勇気がいる」(孫社長)
  • ……闘って初めて事を成すということ。「どんな優れたビジョンや戦略でも、自分で闘って成せるという覚悟がないと無責任な議論になる」(孫社長)

戦略

  • ……圧倒的なナンバー1になれる戦略が見えた分野だけ手を付けるということ。「マイクロソフトのWindowsやインテルのCPU、グーグル、アマゾンのように圧倒的なナンバー1でないと、利益が出なくなるのは時間の問題」(孫社長)
  • ……時代の流れに逆らってはいけないということ。「ニッチな枝葉で成功しようとするのは、事業家としてダメ。OSや通信方式などは、後々メインストリームになるものを選ばないといけない。『安く買える』『組みやすい』だけで選んでしまうと、ニッチな枝葉を選んでしまう可能性がある」(孫社長)
  • ……攻めること。具体的には「営業」「技術開発」「M&A」「新規事業」などで、1つだけではダメ。
  • ……守ること。具体的には「キャッシュフロー経営」「コスト削減」「投資の効率化」「撤退」「コンプライアンス」「監査」「報道リスク」などを意識すること。「ベンチャーは社員が2~3割辞めてもつぶれない、売り上げが2~3割減ってもつぶれない。つぶれる原因の多くは資金繰りにある。また、正しいこと以外はやってはいけない。今の法律には違反していなくても、30~50年後に『あいつら田沼意次だった』と言われないようにしないといけない。故田中角栄氏はグレーゾーンが後の世で明確になったために失脚した」(孫社長)
  • ……同士的結合と資本的結合をあわせ持つ、マルチブランド戦略を採用すること。「シングルブランドは効率はいいが、危うい。30年くらいは良くても、300年は続かない」(孫社長)

将の心得

  • ……知力を持つこと。(ソフトバンク的には)「思考力」「グローバル交渉力」「プレゼン能力」「テクノロジー」「ファイナンス」「分析力」を指す。「1つを持っているだけだと、飛車にはなれても王にはなれない。それぞれの分野の専門家と高い次元で議論できるようにならないといけない」(孫社長)
  • ……同志的結合やパートナーシップを結ぶために、信義や信用、信念などを持つこと。
  • ……仁愛を持つこと。
  • ……勇気を持つこと。攻める勇気や大きな敵と戦う勇気、撤退する勇気などを指す。「退却する勇気がないトップは国や会社を滅ぼすので、絶対に身に付けないといけない。退却の決断はトップしかできない」(孫社長)
  • ……厳しさを持つこと。「単に厳しいというわけではなく、仁愛を持ちつつ、組織のために時として鬼となることが大事。自分が最も信頼する部下であったとしても」(孫社長)

戦術

  • ……すばやく実行すること。
  • ……静かに実行すること。
  • ……徹底的に実行すること。
  • ……動かないこと。
  • ……海のようにすべてを飲み込んだ平和な状態まで持っていって、初めて戦いは完結するということ。
※注……後半の説明が短いのは、前半の解説が長すぎて後半を解説する時間がなくなったためである。

「孫の二乗の兵法」
[道][天][地][将][法]
[頂}[情][略][七][闘]
[一][流][攻][守][群]
[智][信][仁][勇][厳]
[風][林][火][山][海]
=孫子×孫正義
孫子の言葉と、孫正義独自の言葉を重ねた25文字の文字盤で表される経営指針

以下:
UST視聴(受講)の自分メモ抜粋
→[流]あたりで離脱。

■ 地=地の利。
インターネットの中心はアジアへ。
2015年インターネットシェアはアジアが50%を占める。
ソフトバンク=日本企業という地の利。
アメリカは20%台だった。

■ 将=優れた将を得る。 
関羽、張飛、趙雲、孔明の名が出た。

■ 頂=ビジョン
登る山を決めよ。山から見た景色をイメージせよ。
登る前に上からビジョンを想像する。

■ 情=情報収集
「四十の事業」を徹底的に調べ上げ書類の束が
それぞれ1mの高さになったと孫社長。
それを表現するパワポの資料も良かった。

■ 略=各種戦略
「集めた情報をそぎ落とし、絞り込む。」
「勝った後のイメージを“先に”想像せよ。」
徹底的に、死ぬほどに選択肢を出して絞り込む、略すること。
就任当時のソフトバンクは完全に負け癖が付いていた。
社員の顔が曇って鋳た。
一度でいいから純増NO.1を獲ることを想像した。

■ 七=七割
「五分五分の時に戦いを仕掛ける者は愚かであり、勝率九割では手遅れ。」
三割以上のリスクは犯さない。
これはカンブリアか何かでもやってた。

■ 闘
「命をかけて闘う。闘って初めてことは成る。」
情報革命で人々を幸せにする。言うだけなら簡単。誰でもできる。
ツイッター余談)
ツイッターでも色んな方から色々言われる。
でもたまに言いたくなるんです。「じゃあ、やってみろ」って(笑)
『坂本龍馬ならSIMロックかけてねーだろ。』ともよく言われる(つぶやかれる)が、龍馬も高杉晋作も闘ったろう。闘って事を成したのだ。(ソフトバンクも)闘っている最中に、事を成す前に、誰が敵に武器を渡すか。と話題のSIMロックにも触れ忘れない孫社長。

以上。ソフトバンクアカデミアメモ。

前半の解説が長すぎて(確かに長かったw)、
後半の解説が時短に入ったことを今知り笑いました。

Posted via email from sing55song's posterous